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医・歯二元論と制度のあり方を考える 

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都 温彦
(福岡大学名誉教授・前医学部歯科口腔外科教授)

我が国における医歯二元論制度のあり方を考える

3. これからの歯科医師のあり方と方向性について

今日,地域医療については高度な医療を地域住民に提供する医療センターや総合病院が各県の地域に存在している.歯科医療については,一般的に大学病院の歯科口腔外科が歯科の救急患者に対応している場合多いが,その数は少ない.
 我が国の国民皆保険制度のもとで高度の歯科医療を地域住民に提供するためには,まず地域の総合病院や医療センターに,一般歯科治療が行えて,個人的にいくつかの歯科専門医の資格を有する優秀な歯科医師を臨床研修指導医として3〜4人を配置する必要がある.そして,そこに勤務する歯科医師は院内の医師と臆せず医学的,医療的交流ができ,地域の医師や歯科医師と連携ができることが必要である.
 そして,このような歯科医師は医師と同等の給料を保証されるべきである.できれば将来的には病院勤務と医歯一元的に当直や救命救急処置ができるような教育や身分制度も検討すべきであろう.
 現在の歯科保険制度では,歯科部門の収支採算がとれない場合は,医師と同じ収入に達しない赤字額の差額を国が病院へ補填するような医療評価を図るべきであると思う.
 将来的に,優秀な歯科医師を公的病院に集めて高度の地域歯科医療と歯科研修医の指導教育を図り実施することは,低迷する歯科医療にとって重要な課題である.
 我が国の歯科医療は,低収入とワーキングプアと称する一群の歯科医師難民をかかえ,歯科医療の低下と破滅への道に追い込まれていると言わざるを得ない.
 かつてエルンスト・ヘッケル(Ernst Haeckel, 1834〜1919)は「個体の発生は系統発生を繰り返す」という進化論の説を唱えた.すなわち,ヒトの胚が発生する過程においては生命が地球に現れてから35億年の進化の過程の道筋を早送りのビデオのように繰り返して生まれてくるわけである.組織や人脈による文化性は遺伝する傾向がある.16世紀にヨーロッパにおいて萌芽した近代歯科学は,アメリカに渡り,ボルチモア歯科医学校という組織を誕生させた.当時の古典的な近代歯科学の特徴は遺伝的に現在も生きている.
 歯科学そして歯科医学校,歯学部は時代と共に進化しなければならない.また医学と歯学は協調的に進化すべきである.
 医療においても同様である.今,我が国の近代歯科学そして歯科学の教育や医療制度のあり方には,歯科学発足時からの環境やその遺伝的因子の改良と進化が求められるときである.そのためには歯科医師と歯科医療の向上と進化を目指して,若干の歯科医師法の改正に踏み込むことも止むを得ないのではないかと思われる.
 ワーキングプアとまでいわれる歯科医師を育成する歯学部には,徐々に優秀な学生が敬遠して来なくなる傾向を生み出している.
 優秀で意欲的な若者や受験生たちは,実利的で将来的夢があり,社会的に尊敬される学部に挑戦しようとする.一般的に親や学校もそのことを期待している.歯科医師や歯学部側も,ひいては国民の健康と歯科学発展のために歯学部や歯科医療を魅力的で価値のあるものにする努力をしなければならない.そうしなければ歯学部や歯科に関心をもっている優秀な受験生たちから敬遠されてしまう危険性があると思う.
 近代歯科学の誕生と発展の歴史をみると,歯科学は生物学や医学の一分科として解釈される.そうであれば,歯科学は医学の一分科として医学の広い舞台に乗せて一元論的視野のもとで哲学的討議,批判,反省を行い,知識や技術を考え,生物学的哲学を共有することが歯科学発展のためによいことであると思う.このような状況は,これまで培った歯科学の知識や知見,治療技術の整理そして医学との整合性に役立つ機会を作ることになる.
 何事においても,人間はより高いレベルを要求されるときや,異種文化や厳しい状況において進化する.歯科学の中だけに閉じ籠るような思考は刺激や啓発性に乏しくなりやすい.
 かつては単科大学であったマサチューセッツ工科大学などは名称は従来のままであるが,最近では文系や生物系の学部も設置されている.単科だけの学問では,発展する活力や知的要素,脳への啓発的刺激などが乏しくなるのであろう.
 日本においても現在の一橋大学の前身校は東京商科大学であり,今では文系の総合大学になっている.東京工業大学も現在,理系の総合大学を目指している.
 医学と歯学との部分的あるいは全体的接点,そして両者の総合的発展への道筋は,歯学の将来にとって重要な課題を提供している.
 今,歯科学・歯学部そして歯科医療は狭隘な領域の世界だけに閉じ込められてしまうか,あるいは広範な領域を背景にした視野に立つことができるかの岐路に立たされている.
 歯科は人間科学として,医学との共通の知識や,思考,哲学を真摯に考えなければならない.

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