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医・歯二元論と制度のあり方を考える 

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都 温彦
(福岡大学名誉教授・前医学部歯科口腔外科教授)


アメリカ合衆国における近代歯科学の歴史

2.DDSとDMDにみられる歯科学の理念


 世界最初のBaltimore College of Dental Surgeryは歯科外科的特徴をもっていたことが校名により示唆される.それに加えて機械器具や道具を用いての技術的要素が強く,歯科学が歯に対する無機的学問あるいは治療として映り,医学がもっている生命観や人間性や生物学的面や病態の追求そして癒しの心などとは離れたものとしての印象を世間に与えたのではないかと思われる.
 当初の歯科医学校卒業時に授与されるDDS(Doctor of Dental Surgery)の称号は,歯科外科医としての歯科医師であることを謳った言葉であると思われる.
 その後,より高い知的教養と学問と研究者としての素養を身につけた歯科医師を育てるために,ハーバード大学やペンシルベニア大学などの名門大学をはじめとして総合大学において歯学部が創設されることになった.このことは医学の一分科としての歯科学講座が総合大学の中の歯学部に成り代わった姿ではないかと考えることができる.このような理由としてはハーバード大学やペンシルベニア大学のアメリカ東部における一部の歯学部では卒業するとDMD(Doctor of Dental Medicine)の称号が授与される.その理念には医学として歯科学を修めた者であるという意味が窺える.
 つまり,アメリカでは歯学部を卒業すると,「DDS」,「DMD」のいずれかの称号を与えられるが,両者の社会的評価には全く差は認められない.しかし,ここにはアメリカにおける歯科医学校の歴史的経緯による歯科学の理念を窺い知ることができる.すなわち初期の歯科医学校におけるSurgicalそしてMechanicalな歯科医療の特性は,総合大学の歯学部になってからは,それまでの歯科学に医学知識や科学的基礎医学,口腔生物学,自然科学,哲学や社会文化的な知的素養,多民族社会における文化性を考慮した歯科公衆衛生学,行動心理学,歯や口腔の内科的,そして心因性症状や疾患などの発見,歯科学に関連する必要な分野の幅を広げることによって,次第により濃く,厚さを増し充実発展できたという時代的経過を考えることができる.
 したがって,DDSの称号は初期のカレッジとしての歯科医学校の歴史的理念を基盤にしたものであり,DMDの称号は総合大学の歯学部あるいは歯科医学校が知的な高等教育そして歯科学が生物学,自然科学,公衆衛生学などにおいて高い医学的レベルの研究を目指す理念の表れとして授与される称号であったと考えられる.このような歯科学における2つの理念の流れが考えられる.
 現在,世界の多くの国では,歯科学を独立した教育機関で教えているところが多い.しかし医学の中の専門分野として医師を目指す人と同等に教育しているか,または医師になった後にさらに歯科学を一定の期間専攻させている国もある.ロシア,ユーゴスラビア,ハンガリー,オーストリー,イタリア,ベルギー,フランスなどでは医師の資格を得た後に,多くは短期間の教育で,歯科専門医(口腔科医)の資格が与えられるところもある.
 歯科医療やその職種の法的規制そして歯科学教育制度の在り方は,とくにヨーロッパ諸国では各国の医学や歯科学の発展の歴史的事情によって異なっており,理解するのに難しいところがある.その点,アメリカに始まった医歯二元論制度はすっきりとして分かりやすいが,同時に利点と欠点も考えてみなければならない.
 一昨年,アメリカのUCLA歯学部のPublic Heath & Community DentistryのMarvin Marcus教授を訪ねたとき「自分はスペインからやってきたが,スペインや東ヨーロッパでは医学部を卒業してから歯科学を選び,歯科医師になっていた.最近ではアメリカに倣い,スペインは医歯二元論制度になっている」とのことであった.
 このことは,何を意味しているのだろうか.医学部の歯科学講座の中だけでは歯科医師を教育するのに充分な設備や時間が足りないからではないかと思った.歯科医師となる学生,研究者として,あるいは臨床家として育成することは医学部の一分科だけの制度では充分ではなかった,ということであろうか.


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