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医・歯二元論と制度のあり方を考える 

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近代歯科学の誕生と発展の歴史(4)
―ヨーロッパにおける近代歯科学誕生の“まとめ”―

古代エジプト,ローマでは紀元前5世紀のころから理髪師によって簡単な外科手術や抜歯などが行われていた.これは理髪師の指先が器用であることや,外科治療には欠かせない鋭利な刃物,器具などの取り扱いに馴れ,得意であったためと思われる.
理髪師の抜歯は古代ローマだけでなく,中世にはヨーロッパとアラビア(アジア大陸西端,インド洋に突出する世界最大の半島.住民はアラブ人で,イスラム教徒)の間にも広がり,外科手術を行う理髪外科医という職業がほぼ確立した.
フランスでは1301年,イギリスでは1308年にそれぞれ理髪外科医の同業組合が設立されている.フランスでは1745年,18世紀半ばまで存続していたが,それ以後は理髪師と理髪外科医との組合に分かれるようになった.
理髪師が外科処置を副業としていたことは,現在の理髪店の看板に残されている.白は繃帯,シーツ,赤は動脈血,青は静脈血を表している.中世期の時代,理髪師外科医の歯科治療は抜歯や歯石除去,歯の清掃などであった(長谷川正康:歯科の歴史おもしろ読本.クインテッセンス出版株式会社,1993年発行,20~21頁).

注)ここで歴史の時代的区分における中世は古代と近世(近代)との間,主として封建制を土台とする社会である.そして西洋史ではほぼ4世紀末ゲルマン民族の移動から15世紀末半ばに至る時期を指すことになる.また日本史では,一般に12世紀末鎌倉幕府の成立から16世紀末室町幕府の滅亡までを指している.

ヨーロッパ中世前期(5~11世紀ころ),歴史的には知的暗黒時代と呼ばれるころの歯科治療は香具師による見世物,興行的な抜歯などが行われていた.
やがて中世の13世紀末から15世紀末葉にかけて全ヨーロッパに波及したルネサンス・文芸復興,すなわち芸術,思想上,そして広く文化の諸領域の革新運動による神中心の中世文化から人間中心の近代文化への転換への端緒が開かれることになった.
この時代には天文学者・聖職者であったコペルニクス(1473~1545)が,これまでの地球中心宇宙説に反対して地動説を発表し,世界観を確立した.
またレオナルド・ダ・ビンチ(1452~1519)は画家・建築家・彫刻家として不朽の名作を遺しているが,これらの他にも詩人,思想化,そして自然科学についても多数の卓越した業績を遺している.
近代歯科学は中世ヨーロッパの14~15世紀に始まったルネサンス・文芸復興の革新運動に関連して自然科学と共に萌芽した.そのころの歯科治療は前時代的な非科学的な医術と近代歯科学としての科学的医術との玉石混淆の状況であった.このような状況の中で,近代の歯科学はフランス,ドイツ,イギリスにおいて卓越した個人の努力による業績が認められる.
これらの人たちは外科医,内科医,理髪外科医,解剖学者であり,そして義歯作製者として歯科医療を行う技術工の職人たちであった.
ここで近代歯科学の萌芽の役割を果たした前述の人たちの職業や業績の簡略をまとめると,次のとおりである.

1)アンドレアス・ヴェサリウス(1514~1564)(ベルギー)
解剖学者,医師
2)アンブロワーズ・パレ(1510~1590) (フランス)
外科医(近代外科学を確立)
3)ピエール・フォシャール(1678~1761)(フランス)
若い時,海軍の軍医見習生となり,外科の基礎と歯科診療を学んだ.医学的教養に富んだ歯科学を開拓した.近代歯科学の祖と呼ばれる.
4)フィリップ・パッフ(1711~1766)(ドイツ)
解剖,生理,病理,治療学,歯科補綴法などの広い面から歯科学に対応した.
5)セル(1759~1830 Serre.J.J.J)(ドイツ)
ドイツにおける歯科学の向上に貢献.
※ベルギー生れ,ウィーン,ベルリンに住む.
6)バード・モア(1740~1786)(イギリス)
外科医,歯科医,国王ジョージ3世の歯科侍医.
7)ジョン・ハンター(1728~1793年)(イギリス)
外科医,陸軍軍医.解剖学,病理,比較解剖学,生理学などに堪能.
歯科医師ではなかったが,歯科学に対する貢献は歯科治療に新しい時代を作った.そして歯科が外科医や内科医の注目を引く機会を与えた.
8)ウィリアム・ハンター(1861~1937)(イギリス)
内科医・ハンター氏舌炎,口腔感染症と全身との関係を指摘した.

以上,ヨーロッパにおけるルネサンスに始まる科学の夜明けとともに自然科学の発達が起こり,同時に近代歯科学も優れた個人の努力によって開拓され,学問的知見が生まれた.
これらの人たちの多くは外科医や内科医であり,基礎医学についても堪能であった.このような人たちによって歯科治療が単なる技術を用いて行うのではなく,歯科学という学問的知識や観察,考えに則って行われる医学的基盤が誕生し,今日の近代歯科学の発展が築かれることになった.
ヨーロッパで誕生した近代の歯科学は医学における一分科であると考えてよい.したがってヨーロッパの歯科医師は医学部において育成されるとことが多い.しかし最近では歯学部で育成されるところも認められる.
ヨーロッパで誕生した近代医学,そして歯科学はやがてアメリカ植民地に渡り,医学と歯学は二元論的制度になってゆくことになった.
そして我が国の歯科医師の育成はアメリカの制度を規範として現在に至っている.

注)近代の歯科治療は医学の一分科として,ヨーロッパで誕生した.医学の一分科であれば歯科医学より歯科学という名称の方がふさわしい.我が国では,歯学,歯科学,歯科医学は同義語として用いられているので,本稿でも混合して用いていることをおことわりしておきたい.
   
 

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