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医・歯二元論と制度のあり方を考える 

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'0711月号

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都 温彦
(福岡大学名誉教授・前医学部歯科口腔外科教授)

現代の医・歯二元論制度の不統一性と矛盾とは
  
明治維新を契機にして,我が国にもたらされた文明開化にともなって,近代歯科学も欧米人によって特にアメリカの歯科医学・医療が導入された.そしてアメリカ歯科学の流れを汲む歯科が主流となって我が国の医・歯二元論制度ができ,現在の歯学の発展が築かれた.しかし,歯学の発展は広い医療的視野から見ると医・歯二元論制度は矛盾を抱えており,従来から燻っていた二元制度に対する歯科医療の障害と矛盾に関して火がつくことになった.
  その結果,昭和17年ころには医・歯一元化運動が全国的に頂点に達したが,我が国の戦時という国情もあって,やがて沈静化されることになった.さらに第二次世界大戦の敗戦によって我が国の歯科の制度はアメリカの占領政策のもとに指導が行われた.このことによって,これまでの歯科医専は大学に昇格したが医・歯二元論制度は強固に確立した.
  その後60年を経過したが,医学と歯学は発展し,共通の研究方法や分野を持つようになった.また,高齢化社会の招来は急性期疾患に対する高度先進的医療と慢性疾患や高齢者に対するケアを重んじた医療制度の変革などをもたらしている.これらにおいては医・歯一元論的要素が多分に含まれている.そして100年継続してきた医・歯二元論制度については,現在も歯科自体が内部的に解決しなければならない用語の不統一に関する問題もかかえている.
  Dentistryの日本語のネーミングについてはどうであろうか.また,長年の医・歯二元論制度による両者の別個の歩みのうちに生じた医療概念,意思疎通,協調性,医学的,歯学知識や治療技術の理解などは容易に改善されないように思われる.これからも医科と歯科は平行線を辿ることになるのではないかと思われる.そうであれば,歯科医師は医師と同じ程度の医学知識と臨床能力,そして医師は歯科医師と同じ程度の歯学知識と臨床能力を研修して,そるぞれ二元制.二本立ての医療体制において国民に対する全人的応対を図るかであろう.
  本来,歯や口腔が全身の機能に有機的に係わっていることを考えると,歯科は医学と医療のもとに置かれるべきものである.それが治療技術,教育的都合によって医・歯二元論的制度が出来上がったとすれば,今は制度的,理念的に考え直す時期であろう.
  そして全人医療を目指す歯科学の理念や特性は何処にあるのかを問う必要がある.組織の理念が曖昧であると,制度が存在しても,そこに所属する人たちの志や目的意識や存在理由,そして,歯科自体の価値観までが弛み,弱いものになる.現在,歯科は医学と歯学の進歩のなかで将来的展望に関しては希望が希薄であり,理念や概念,そして制度的,経済的岐路に立たされていると言わざるをえない状況である.
  ここでDentistryの和訳あるいは歯科用語などについて,正木 正先生の成書の一部を参考にさせて頂きながら述べてみたい(正木 正「新編歯科医学概論-歯科医学とはなにか,その歴史と哲学」医歯薬出版株式会社, 1975).
昭和42年に改訂された教授要綱において,歯科の学問的用語は「歯学」に統一された.したがって歯学部,歯学博士,そして歯学部卒業生については歯学士などの名称が付けられている.一方,歯学以外にも歯科学,歯科医学などの用語が普遍的に使われている.これらの用語の意味や定義はどのように考えたらよいのだろうか.
  歯学というと,一般的には歯の学問として受け取られても仕方がない.世間では歯医者と呼び,歯に関することだけに対応する職業に思われている不思議がある.学会については「歯学会」「歯科学会」「歯科医学」などがみられるが,それらの内容の違いはどうであろうか.歯科医学という外観は医学の一分科に属しているように思われるが,その内容は医学から別れている.すなわち東洋医学と同じように独立した医学であると解釈されても仕方がない.
  歯科が医学の一分科であれば整形学,泌尿器科学,皮膚科学,小児科学,産婦人科学,放射線科学,形成外科学,麻酔科学,脳外科学,救急救命科学,などのように歯科学は並べられる.
  文部科学省の管轄である教育面では歯学であり,厚生労働省管轄である行政面では歯科医学の用語が使われている.そして歯科医師であって,医師に対応して歯師になっていない.歯科医師の団体は歯科医師会であり,いずれも,医の字が入れられている.ここに歯科に関する用語の不統一と混乱と矛盾がみられる.
  これらの用語と定義との関係を整理し,統合することは非常に困難であるが,歯学や歯科医療における今後のあるべき姿や方向性を考え将来の発展を期するためには重要な課題であると思う.

  
  


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