歯と川柳 

[ 2008/09/03 12:15 ] 歯と川柳(大庭 健) | TB(0) | CM(0)

歯科医療ななめ読み 

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尾崎哲則
(日本大学歯学部医療人間科学教授・歯学部附属歯科衛生専門学校校長)


大野病院産婦人科事件から考えること

福島県大野病院産婦人科事件の裁判がひとまず終了した.出産期の産科医の対応をめぐっての刑事裁判に関わる件であるが,各方面に様々な投げかけをしたことは,今後の医療界にとっても,国民にとっても1つの大きな転換となろう.
医療とは,そもそも請負契約とは異なり,何かを完成させることを約束するものでもはない.良い結果を生むために,医療者は最善の努力をもって患者さんにサービスを提供するもので,準委任契約とされている.しかし,国民には医療は必ず成功するものであるような思いと期待がある.一方,不幸な結果を生じた場合,手落ちがあったと思いたい側面が強いことも否定できない.刑事訴追が行われ,かつ執刀医が逮捕されるといったショッキングな経過から本事件は始まっていた.
この事件が起きてから,リスクのある出産を扱うことが避けられる傾向に向かい,産科医の不足問題に拍車を掛け,全国各地で出産の取り扱いを止める医療機関が増え,お産難民が増大していった.
この裁判を担当した警察・検察は何を目的に刑事訴追を起こし,医師を逮捕までしたのだろうか? ある意味での家族の医師あるいは病院への不信からこのようなことへ踏み切ったのかも知れない.おそらく,医療が置かれている状況を認識していたとは考えにくい.業務過失や医師法に基づく異常死の届出違反を問うのはかなり困難であることも十分に検討していたとも思えない.しかし,現在我が国では,裁判でも起こさない限り,患者の受けた医療の内容や妥当性を患者や家族は知ることができないと思われる.さらに,すぐに訴訟に持ち込もうとする法曹関係者がいることも分かっている.
国民にとって必要なのは,安全・安心の医療の提供を受けることであるのは明々白々のことである.多くの医療訴訟の記録を見ていると,患者や家族の思いは,医療の現場で起きた事実を知りたいということであろう.医療事故が生じた場合に調査する第三者機関の設置を厚生労働省は次期国会に上程しようとしている.当然,論議すべきいろいろな問題を含んでいることは,百も承知の上でのことである.ある意味では,医療の最低限レベルを明示する可能性がある.医療機関・医療者にとってけっして楽なものではないかもしれないが,国民主体の医療を提供するに当たり必要なものになってこよう.

[ 2008/09/01 16:57 ] 歯科医療ななめ読み | TB(0) | CM(0)

入れ歯師 篤次朗 の思い 

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歯科金属アレルギー

久しぶりに会った知人が、夏だというのに手袋をしていた。理由を聞くと手のひらが真っ赤で皮膚が崩れていた。市販のクリームを塗っても改善せず困っていた。もしかと思い"歯科治療をしましたか?"と尋ねたら、歯科治療をしてから発生したという。
今までは自費治療で「ゴールド」を被せていたのだが、今回保険の被せ物を入れてもらったそうです。金属アレルギーの疑いを感じたら皮膚科でパッチテストをしてもらい、判断するのが確実であり、反応した金属を排除するのが良いと思う。一般の人がどこまで金属アレルギーの異常に気がつくのであろうか。
以前に「水銀」のアレルギーで来院された患者さんは全身に症状があり、倦怠感や皮膚の異常で会社にも行けない患者さんを担当したことがあり、条件の合う歯科用金属を選択し、一つの金属で再補綴することにより改善し社会復帰されたことを思い出しました。また私の従業員にも一番アレルギーになりにくい「プラチナ」に反応した人がいた。口内炎やアレルギーの発症は条件や体調など個人差があり、パラジュウムや亜鉛に反応する人もいるそうです。
口腔内に異種金属が介在するために起こる電位差による刺激なども発症の原因になると言われている。私は長く技工をしているが、基本的に1口腔1金属が望ましいと極力異種金属を使わないようにしているが、以前に他で治療した金属は判断がしにくく、可能な限り高カラットの貴金属を推奨している。金属の決定は歯科医師にあり、自費治療で歯に被せる金属は「ゴールド」を使うが、デンチャーには「コバルトクローム床やチタン床」を選択する歯科医師が多くいるように感じる。確かにここ数年貴金属の高騰により「貴金属」は使用しにくい。
私は金属屋さんの回し者ではありませんが私は30年以上デンチャーにも白金加金を使っている。現実に口腔内の金属によるアレルギーとは判らずに困っている人がたくさんいるのではないでしょうか?
歯科用金属はほとんどが合金であり、配合されている金属の溶質なども気になります。その後、私の知人は入れていただいた歯科医院で保険のクラウンをはずし、「ゴールド」のクラウンに取り替えたそうです。徐々に改善し始めているそうです。メタルフリーも含め、最近流行のジルコニウムも金属であり、できるだけ安心・安全な危険因子の少ない歯科用金属を選択したい。


[ 2008/09/01 12:33 ] 入れ歯師 篤次朗の思い | TB(0) | CM(0)

医・歯二元論と制度のあり方を考える 

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都 温彦
(福岡大学名誉教授・前医学部歯科口腔外科教授)


アメリカ合衆国における近代歯科学の端緒

7)アメリカにおける歯科医学校の創立とその後の変遷と理念および医学との関連性

ペンシルベニア大学歯学部の例について―1


世界最初の歯科医学校は1840年にアメリカのBoltimoreに創立された.学歴の程度としては我が国の旧制の専門学校あるいは実業学校に相当したと思われる.現在アメリカでは単科大学だけの歯科大学はなく,歯科医学は大学教育になっている.そして歯科医学教育機関は,すべて総合大学の学部で行われている.
現在,アメリカの歯学教育修業年限は歯学部進学前に4年間の単科大学あるいは総合大学で教育を受けBachelor of ArtsかBachelor of Scienceの称号を得てから歯学部の学修課程の4年間に入ることができる.その課程が終わるとD.D.S.かD.M.D.の称号が授与される.この8カ年の課程は医学部においても同じである.
歯学生を教育するには“できる歯科医師”すなわち秀れた技術,そして“考える歯科医師”すなわち哲学をもった歯科医師を養成するために知的探究の習慣をつけることを教える.そして考える歯科医師は4カ年の歯学部進学前の大学課程で,できる歯科医師は4カ年の歯学部専門課程で教育するようになっている.
初期のアメリカの歯科医学校は単科のCollege of Dental Surgeryとして存在していたが,次第に総合大学Universityの歯学部として現在はSchool(College)of DentistryあるいはSchool of Dental Medicine,School of Dental&Oral Surgery,College of Dental Medicine Medical Universityなどの名称で呼ばれるようになった.
このように歯科医業が教養のある知的専門職業としての社会的地位を得る努力を稔らせてきた.
ここで再度,1840年における初期の歯科医学校創立から19世紀後半に溯り,20世紀初頭のアメリカの歯科医学の勃興と発展の道を辿りながら歯科学の理念についても考えてみたいと思う.
ハーバード大学の歯学部の創立(1867年)に次いで,1878年にはペンシルベニア大学歯学部が設立した.開校当初はSchool of Dentistryの名称で,卒業時に授与される称号はDoctor of Dentistryの名称で,Doctor of Dental Surgery(D.D.S.)であった.ペンシルベニア大学では1961年から,歯学部の名称をハーバード大学のように,the School of Dental Medicineに変え,1965年の卒業生からD.M.D.の称号を与えるようになった.
ペンシルベニア大学歯学部はアメリカで最もすぐれた歯科医学教育,そして研究機関の1つとして知られている.
19世紀のはじめ頃,アメリカの大部分の歯科医師たちは歯を充填して保存することを無視して抜歯する傾向があった.その後,充填法を改善し,保存歯科学の道を開いた.
19世紀になり,歯科医師は急速に社会的地位が認められるようになった.そのうちアメリカの歯科治療は海外にも認識されるようになった.とくにヨーロッパ大陸の主な都市では歯科医療の需要が高まり,それに応じてアメリカの歯科医師がヨーロッパへ移住するようになった.そのなかでもウィロビー・ミラー(Willoughby D. Miller,1853〜1907)はベルリン大学の教授に就任し,ドイツ皇室の歯科侍医に任命された世界的に有名な学者である.またフィラデルフィア出身のトーマス・エバンス(Thomas W. Evans,1823〜1897)はナポレオン3世(在位1852〜1870)の宮廷に仕えた.
歯科医学を今日の状態に発展させる指導的役割を演じたのは,ヨーロッパではドイツのベルリン大学,アメリカではペンシルベニア大学とノースウェスタン大学があげられる.ベルリン大学歯科学教室は1884年に開設され,口腔外科ブッシュ(Friedrich Busch)教授,保存歯科ミラー(W.D.Miller)教授,補綴歯科はザウェル(Carl Sauer)教授の3つの部からなり,3人の教授がそれぞれの指導者であった.ドイツで32カ年を過ごしたミラーは1907年には,ミシガン大学歯学部長として招かれ,アメリカに帰ったが同年不幸にして死去した.
ミラーはコッホ(Koch)について細菌学を研究した.とくに「口腔の微生物学 (Die Mikroorganism der Mundhohle)」(1889)は広く知られている.そのほか歯科病理学,保存歯科治療学の領域でも多くの論文を発表した.そして「保存歯科治療学教科書(Lehrbuch der Konservierende Zahnheilkunde)」(1896)はヨーロッパでは入門書として多くの人々に読まれた.
ミラーの努力は歯科学を自然科学として成立させるのに役立ち,歯科学の学術的発達に大きく貢献した.
19世紀の末葉にはヨーロッパの学生がアメリカの歯科医学校へ留学するようになり,歯科医学におけるヨーロッパとアメリカとの移り変わりも見られるようになった.

備考)全身麻酔法の発見
近代の外科手術の進歩を促したものは手術時の止血法,無痛法,細菌感染から制禦法の発見であったといわれる.多くの歯科処置には痛みの苦痛を伴うので,歯科医師は無痛的処置が行える麻酔薬を探していた.
1844年,ホーレス・ウェルス(Horace G.Wells)は亜酸化窒素(笑気),そして1846年にはウィリアム・トーマス・グリーン・モートン(William Thomas Green Morton)はエーテルを患者に吸引させて抜歯を行い,無痛法を公開した.ウェルスとモートンはアメリカにおける全身麻酔を行った先駆者であるとされている.両人とも開業歯科医師であるが,晩年は不幸であった.
我が国ではウェルスやモートンそしてイギリスのJames Yang Simpson(1811〜1870)がクロロホルムを1847年に産科手術に応用した時よりも,おおよそ40年前に華岡青洲が全身麻酔を世界に先がけ1804年60歳,女性の乳癌の無痛手術を行い,成功した.
華岡青洲の全身麻酔が欧米に先んじていながら,広まらなかったのは,そのことを秘伝として,公開せず内輪の人だけに教える傾向があったからだといわれる.




入れ歯師 篤次朗の思い 

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義歯製作はコミュニケーションが大事

義歯を作るにあたり、歯科技工士にとって歯科医師は「敵」ではなく、歯科医師にとって歯科技工士は「手下」ではない。歯科医師が時間をかけ患者さんより主訴を聞きその義歯作りに大切な情報を歯科技工士に上手く伝達できないことにより理に適う義歯が作れない。もしくは作ってもらえない。
歯科技工士の中には日ごろ机に向かいもくもくと製作する職人肌の方を見かける。歯科医師と上手く会話ができない人がいる。適切な会話教育を受けてないので上手い情報交換ができず、仕事を請けてから悩みながら作業してしまうという話も良く聞く。気軽に普通の友達と会話するような接し方ができたらよいのだが、仕事となればそれはできない。「医師と話す」というプレッシャーに戸惑う。
「知識が無い」と自己判断し、怖くて言葉を選択できず黙ってしまうこともある。歯科医師の中にも「技工の知識」に乏しく、会話ができない医師がいることも確かである。また模型を渡せば出来てくると勘違いする歯科医師もいる。お互いに自分のできないことを分かり合い助け合い理解し合わなければ良い義歯は完成しない。仲良くすることにより、協力し合える。
それにより正しい情報が相手に伝わるものと思う。間違ったとしても訂正できる関係でありたい。歯科医師と歯科技工士間の情報伝達は同じ目標に向かい同じ物指しで考え、歯科医師は患者さんから何を聞き何を伝えなければならないのか、歯科技工士は義歯を作るために何を伝えてもらわねばならないのか、伝達の方法として、写真を添付する、模型や歯科技工指示書に明記する必要性、それを確実に読み取る必要性がある。
お互いに理解し合える関係が成り立てば、患者さんに満足していただける義歯ができるものと思う。本来なら自分で義歯を作る技術を持っている歯科医師が現在は歯科技工士に任せることが多くなってきている。
問題とされることは、歯科医師の的確な指示が無く必要な情報が得られずに歯科技工士が判断し、技工物を作ることのより、歯科医師や患者さんに満足な結果が得られないことです。
歯科医師と歯科技工士の必要不可欠で最小限のコミュニケーションとは何かを考え、患者さんに喜んでいただける義歯製作という共通の目的に向かって、お互いに知恵を出し合い、共通のコンセンサスが得るかが重要で、それこそが真の意味での歯科医療のレベルアップにつながる。そして確かなコミュニケーションの結果、患者さんの笑顔が得られるのではないでしょうか。

[ 2008/08/04 17:21 ] 入れ歯師 篤次朗の思い | TB(0) | CM(0)